|
◎バブルを生みだした「地方政府の中央エリート」
1990年代半ば、中国共産党は、国税と地方税の割合を、約「45%対55%」から約「55%対45%」へと逆転させた。中央が税の確保を目指したのである。そのため、地方政府は税収が減った。そこで、自ら不動産売買を積極的に行い、税収の不足分を補ったのである。これが、不動産バブルの遠因の一つと考えられよう。
ただ、不動産バブルの本質は以下が主因ではないだろうか。
中央から地方へ派遣されるエリートは、地方での実績こそが出世の重要なメルクマールとなる。そこで、マンション建設、特に、商業施設を伴ったマンション群を建設し、目の前のGDPを急増させようとした。
他にもGDPを増やすには、オブジェ等を購入する手もある(例えば、庁舎の庭に値の張る現代アートの彫刻を置く)。しかし、それよりもマンションを建設すれば、不動産会社のみならず、鉄・コンクリート等の建設会社が潤う。電気・水道・ガス等のライフライン関連の会社も儲かる。そして、マンションに人が住めば、家電やインテリア製品が必要になり、購入するだろう。地方経済は活性化するに違いない。
けれども、中央から派遣されたエリートは、決してその地方に長く留まる事はない。赴任期間は限られている。彼らはGDP上昇の実績を持って、また他の地方へ赴任する。
当然、中央のエリートは、ある程度、市場調査を行ってマンションの建設に取りかかるだろう。だが、綿密な市場調査を行うことは少ないのではないか。また、そのマンションが、後でどうなるかは深く考えないだろう。本人の実績が何より大切だからである。
そのため、中国全土で200から300の「鬼城」(ゴーストタウン)が現出している(内モンゴル自治区オルドス市康巴什<カンバシ>新区の「鬼城」が有名)。「鬼城」には、少なくとも20億人から30億人が住めるという(40億人説もある)。つまり、中央のエリートをトップとする地方政府こそが、不動産バブルを創出したのである。 【澁谷司──中国包囲網の現在地】
2021年9月29日(The Liberty Web の転送・転載OKの記事より…割愛・省略により一部転載)
---------------------------------------------------------------------------------------------------
|